昔、読んだ本(2)「奥の部屋」
昔、読んだ本(2)
「奥の部屋」ロバート・エイクマン
(ちくま文庫)
イギリスの作家、ロバート・エイクマンの怪奇小説の短編集。
基本的にジャンル分けはどうでもいいのだが、ホラーという感じはしない。不穏な雰囲気のある、不気味だったり、奇妙だったりする話。
「奥の部屋」は、徒歩旅行中に森のなかで道に迷って、雨に降られて、一軒家にたどり着いたら、子供の時に買ってもらった人形の家にそっくりだった…。
という話。
以前、みんな大好き「国書刊行会」から出ていた単行本を買ったのだが、新しい短編が2編収録されているというので、ちくま文庫の単行本も買う。
別に熱心なファンというわけでもないのだが、まあ、買ったのだ。おかげで、単行本と文庫本がある。
文庫本収録の7本の短編。1960年代に書かれた作品である。
「学友」
・学生時代の友人が町に帰ってくると、友人は奇妙な人になっていた。友人の家を訪れると、そこには……。
「髪を束ねて」
・結婚して、田舎の夫の実家に行くと、そこで町の変わり者扱いの中年女性と出会う。森を1人で散歩していると、その女性と会った。彼女は……。
「待合室」
・電車のなかで寝過ごしてしまい、始発がくるまで、待合室で1晩を過ごすことになった男が見たものとは……。
「何と冷たい小さな君の手よ」
・寂しさから、昔の知人女性に電話をかけると、知らない女性が出た。その女性と話が合ったので、たびたび電話をするようになったが、会ってはもらえない。
「スタア来臨」
・地方のさびれた田舎町の劇場で往年の大女優が舞台に立つことになった。小さなホテルに宿泊して、その地方についての調べ物をしていた男が、女優と知り合うことになる。
「恍惚」
・ある画家が、好きだった物故画家の家を訪れたいと、未亡人に連絡を入れたところ、許可がおりた。その画家の家を訪れると、未亡人は奇妙なことを言い出す。
「奥の部屋」
・女性が1人で徒歩旅行をしていると、森のなかで道に迷って、雨に降られてしまう。一軒家にたどり着いたら、子供の時に買ってもらった人形の家にそっくりだった…。
オレは「髪を束ねて」「スタア来臨」「恍惚」「奥の部屋」が好き。
「奥の部屋」以外のオレが好きな話には、変なオバちゃんが出ていることに気づいた。
あと、文庫本「怪奇小説日和」(ちくま文庫)には、ロバート・エイクマンの短編小説「列車」が収録されていて、こちらは女性2人が徒歩旅行中に迷ってしまい、変な家に泊まることになる話。
イギリスで徒歩旅行をすると、イヤなところに迷いこむらしい。
昔、読んだ本(1)「小泉八雲集」
昔、読んだ本(1)
「小泉八雲集」(新潮文庫)
「小泉八雲集」(新潮文庫)Amazon
「関東心霊庁シリーズ」には、「芳一(ほういち)スーツ」と呼ばれる耐霊服が出てくる。経文のかかれたヘルメットと防護服を着用して、心霊現象から身を守るために使用される。特に人形乗り(パイロット)にとっては、自らが操縦する人形に呪い殺されないために、必要不可欠となっている。
元ネタはもちろん、小泉八雲の「怪談」のなかの「耳なし芳一のはなし」である。「耳なし芳一のはなし」は有名だから説明する必要もあるまい。
大人になって、「怪談」を読んで思い出したことがある。
小学生の頃、夏休みによく新潟の親戚の家に行った。海まで歩いていけるので、海水浴ができた。
そこにあった従姉妹の雑誌「小学何年生」だかに載っていた子供向けの怖い話を読んで、当時、低学年だったオレは震え上がった。
目のない女の幽霊が鈴を鳴らしているイラストがそれはもう怖かったのだ。
病気で亡くなった前妻が目のない幽霊となって、夫の再婚相手の新妻を殺すという話なのも覚えていた。
大人になって「小泉八雲集」を読んで、あの怖い話が「破られた約束」だったと気づいて、「おおおっ!」となったものだ。
「怪談」に関しては、子供の頃は、特に「ろくろ首」が大好きだったなあ。元武士の修行僧がろくろ首と対決するところがいいよね。
怖い話もいいのだが、大人になると、それ以外の話が良かったりもする。
「知られぬ日本の面影」のなかの「日本人の微笑」がとても良い。すごく好き。
人から話を聞いた「人形の墓」や「漂流」、自分が見たりした「停車場」も好き。
雑談のための雑談。
この「関東心霊庁シリーズ」のブログに書くのに雑談すら無い感じになっている。
「ラブホ戦記」からポルターガイストの話などを転載しようかと考えていたんだけどね。まあ、それもいいか。
あと、自分の本棚を見ると、けっこう古い本もまだあって、サキ、ビアス、ブラックウッドやM.R.ジェイムズがある。
怪奇だか幻想だかの小説の本の話をちょっとだけしてみようかな、とも思いはじめる。
関東心霊庁シリーズに出てくる「芳一スーツ」なんて、小泉八雲の怪談のアレじゃないですか。
そういった話とか。
いや、まだわからないけど。
本の内容なんて、かなり忘れちゃっているから、そうとう気が向かないとやらないけど。
(本棚にあったそれっぽい本を集めてみました)
雑談:「ラブホ戦記」が連載400回になりました。
今日、5月16日(火曜)午後発売の「夕刊フジ」の『ラブホ戦記』で連載がちょうど400回目になる。
本紙掲載のみで数えて、特別号を除く。オレが個人で数えていたので、たぶん編集部は気づいていないと思う。
最初は3ヶ月くらいのお試し連載だったけど、いつの間にか連載8年目突入だ。
これからもよろしくね!
8年つづくといろいろあって、最初は「ウンコ」はOKだったが、今では、「ウ〇コ」と伏字になる。
イラストに女性の乳首を描くのは、いつの間にかNGになっていた。
乳首は、髪の毛やセリフで隠すのだ。
一応、一般面に載るので、そんな感じ。
ちなみに、担当記者さんは今では4人目となる。
基本的に一発OKなのだが、全面書き直しは、過去に2回あった。
1つは季節を外してしまったため。もう1つは身内ネタにもほどがあったため。
校閲からの問い合わせは4回くらい。
「校閲から問い合わせがあって」という担当さんの電話を受けると、「ひいいっ。オレ、何かやらかしましたか?」ってなるよね?
印象に残っている問い合わせがある。
当時、ギャル雑誌の編集をやっていた友人と遅い昼ゴハンを食べる約束をしていて、
オレは、その友人の取材が終わるのを渋谷109の前で待っていた。
すると「ラブホ戦記」の担当記者さんから、電話があって、「校閲から文章について指摘があったが、すぐに校了なので、書き直しはできないか」と言われた。
オレ「今、外なんですけど」
記者「電話で、できないでしょうか?」
オレは「おおっ。勧進帳みたいっすね」と言って、担当さんに電話口で原稿を読んでもらい、内容を確認しながら、口頭で書き直しをする。
しかし、その間に、渋谷109の前を「風俗求人バニラ」や「漫画喫茶マンボー」、さらにはアイドルの新曲の宣伝トラックが通るのだ。
「バ〜ニラ、バニラ、バ〜ニラ、求人」
「マンボー、マンボー、マンボー」
だけでなく、よく知らないアイドルの新曲が流れて、うるさくて電話の声が聞こえない。
「あ、ちょっと、バニラ待ちです」「マンボー待ちです」「アイドルちゃん待ちです」などと宣伝トラックが通り過ぎるのを待ちながら、書き直したのは、いい思い出である。
「お春改」「お夏MK2」がKDPに復活しました。「関東心霊庁シリーズ」が、Kindle Unlimited対象になりました。
関東心霊庁シリーズの第1巻「お春改」と第2巻「お夏MK2」が、
KDP電子書籍に復活しました。
それに合わせて、関東心霊庁シリーズは、
電子書籍版を各巻250円で、Kindle Unlimited対象としました。
第1巻「関東心霊庁除霊局/自走式人形お春改 」
第2巻「関東心霊庁除霊局/自走式人形お夏MK2」
第3巻「関東心霊庁除霊局/自走式人形お秋ver.3.0」
第4巻「関東心霊庁除霊局/自走式人形水無月 」
第5巻「関東心霊庁除霊局/自走式人形スミレ(短編集)」
あと、紙の本(グレイプス文庫)も継続して販売中です。
紙書籍「関東心霊庁除霊局/自走式人形お春改 」(グレイプス文庫)
紙書籍「関東心霊庁除霊局/自走式人形お夏MK2」(グレイプス文庫)
これからもよろしくお願いいたします。
他の電子書籍もKindle Unlimited対象ですよ。
「吸血鬼は抱き枕に噛みつかない」
「イプトマス家の召喚獣」
「オレより先に魔王を殺したのは誰だ?(短編)」
「お春改」と「お夏MK2」の電子書籍について。
「関東心霊庁除霊局/自走式人形お春改」
「関東心霊庁除霊局/自走式人形お夏MK2」の
電子書籍版は、一時的に販売していませんが、
2017年4月20日までには、また販売を再開いたします。
もうしばらくお待ちください。
グレイプス文庫の2年間の出版契約の終了にともない、
電子書籍版は個人出版(KDP)として出すことになりました。
昔のKDP版のアカウントが残してあるので、
表紙も懐かしい昔のイラストに戻る予定です。
グレイプス文庫の紙書籍の販売は、
そのまま契約更新をして継続になります。
こちらは、今でもバリバリに販売中なので、
ぜひ紙版のほうもよろしくお願いいたします。
Amazon「関東心霊庁除霊局/自走式人形お春改」
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うずくまる巫女(実話)。
冬の夕方、オレはコンビニに出かけた。
日が暮れて、すっかり夕闇のなか、雑居ビルの1階の真っ暗なエントランスホールで、巫女さんがうずくまって、ごそごそ動いている。
「へえ、巫女さんがこんなところで、何を?……えっ? 巫女さん?」
思わず2度見する。
やはり、暗い場所で、外に背中を向けて、巫女さんがしゃがみこんで、壁だか床だかに何かをしている。
なんとなく「諸星大二郎先生の漫画っぽい」と思ってしまう。
なんだか見てはいけない現場のような気がして、それでも立ち止まって、そっとようすをうかがう。
すると、立て看板「巫女バー」がピカピカと輝いた。
その雑居ビルの2階には、巫女バーがあったのだ。巫女姿の店員さんによる、掃除や点灯などの開店準備だった。暗いところで、看板のプラグをコンセントに入れたり……。
オレは、「そんなもんですよね〜」と思って、立ち去った。